世界初!ミノムシの糸が新素材「MINOLON」として製品化—スポーツ用品から防弾チョッキまで、その可能性は無限大
2024年11月20日、医薬品メーカー「興和」は、ミノムシが吐き出す糸を初めて製品化することに成功したと発表しました。この革新的な新素材「MINOLON(ミノロン)」は、ミノムシの糸をシート状に加工したもので、強さや丈夫さが特長です。8年の歳月をかけて開発されたこの素材が、今後どのように私たちの生活に革命をもたらすのか、注目が集まっています。
ミノムシの糸の驚くべき強度
ミノムシはガの幼虫で、その吐き出す糸は非常に強靭で、太さはわずか0.01ミリほど。研究によると、この糸はカイコの糸の5倍、クモ(オニグモ)の糸の2倍の強度を持っていることがわかっています。そのため、自然繊維の中でも「最強」クラスの耐久性を誇ります。
さらに、この糸はタンパク質由来であるため、環境への負荷が少なく、持続可能な素材としての可能性を秘めています。シート状に加工された「MINOLON」は、炭素繊維プラスチック素材(CFRP)と組み合わせることで、衝撃を受けた際に柔軟性と強さが発揮される特性を持っています。
ミノムシの動きのコントロール
ミノムシが糸を吐きながら動く際の特性が、「MINOLON」の製品化において大きな役割を果たしました。興和の研究チームは、ミノムシの動きを制御し、均一な糸を吐かせる技術を開発しました。これにより、特定のパターンを描くことも可能となり、例えば「Kowa」という文字を糸で描くことができるようになったのです。この技術は、シート素材の均一性を保ちながら、細かい調整を可能にします。
スポーツ用品や日常生活への応用
「MINOLON」の強度や軽さは、さまざまな製品に活用できると期待されています。例えば、スポーツ用品では、ゴルフクラブ、スキー板、ラケットのフレーム、釣り竿、自転車フレーム、スポーツシューズのソールなどに応用が可能です。これにより、製品がより軽量化され、強度が向上することが見込まれています。
また、航空機や自動車の部品、防弾チョッキなど、さらなる高性能な製品への応用も視野に入れられており、「MINOLON」の可能性は無限大です。特に、防弾チョッキに使われる場合、その軽量さと強度が重要な役割を果たすでしょう。
未来を変える新素材
「興和」の上席研究職である浅沼章宗氏は、ミノムシの糸がもたらす未来に大きな期待を寄せています。彼によると、「MINOLON」繊維を短くしてプラスチックに混ぜることで、より丈夫で軽い新しい素材が作られることが確認されています。これにより、今後さまざまな製品に「MINOLON」が加わることで、性能が劇的に向上する可能性があります。
すでに、「MINOLON」を使用したスポーツ用品の第1弾が共同開発され、販売が予定されています。これにより、私たちの身近な製品に新たな変革をもたらす日が近いことを予感させます。
まとめ
ミノムシの糸「MINOLON」は、その強さ、軽さ、環境への優しさが特徴で、今後さまざまな分野で革命を引き起こすことが期待されています。スポーツ用品から防弾チョッキ、さらには航空機や自動車の部品に至るまで、その応用範囲は広がる一方。新しい素材がもたらす未来に、私たちの生活がどのように変わるのか、ますます楽しみになってきました。