栃木県の郷土料理「モロの煮付け」—海の恵みを内陸で楽しむ
栃木県の郷土料理「モロの煮付け」が、NHKの「あさイチ」で紹介され、注目を集めています。この料理は、栃木県民にとってはおなじみの家庭の味であり、地域の食文化の一端を担っています。
「モロ」とは？
「モロ」とは、ネズミザメ（モウカザメ）を指す言葉で、茨城県北部や福島県、宮城県沖で漁獲されるサメを指します。このサメは、栃木県内でもよく食べられており、特に「モロの煮付け」として家庭で作られることが多いです。サメ肉は内陸の栃木県において、海の幸を手に入れる貴重な食材として重宝されてきました。
サメ料理の背景
栃木県のような内陸地方では、海に近い場所に比べて新鮮な魚介類が手に入りにくいため、保存性の高いサメが貴重なタンパク源とされました。サメは、体内に尿酸を蓄えているため、命を終えると尿酸がアンモニアに変わり、腐敗を遅らせる性質があります。この特性により、鮮度が保たれやすく、海の恵みを内陸でも楽しむことができました。
栃木県では、モロ以外にも「サガンボ」と呼ばれるアブラツノザメが食べられており、いずれも家庭の食卓で親しまれてきました。サメ料理は手軽でありながら、味わい深く、日常的に楽しむことができる料理です。
食習の機会と旬
「モロの煮付け」の主役であるネズミザメ（モウカザメ）は、一般的に4～7月に旬を迎えますが、年間を通して水揚げされるため、栃木県内でも常に手に入れることができます。そのため、栃木県の家庭では、季節を問わずモロの煮付けを楽しむことができます。
料理方法とアレンジ
モロの煮付けは、切り身を使用して調理されます。スーパーで気軽に購入でき、手軽に家庭で作れる料理です。煮付けはもちろん、高たんぱく・低脂肪でヘルシーなサメ肉は、揚げ物としても人気があります。フライやカツにしてもおいしく、最近では学校給食でも「モロの松風焼き」や「リンゴソースをかけたソテー」など、さまざまなアレンジメニューが登場しています。
モロの煮付けは、家庭での定番料理であり、栃木県の食文化を感じる一品です。サメ肉の美味しさと栄養価を活かした料理は、地元の人々にとって欠かせない存在となっています。
継承と保存活動
栃木県では、モロやモウカザメの切り身が日常的に販売されており、県内のスーパーや飲食店でも広く提供されています。また、学校給食でも伝統的な料理として子供たちに親しまれており、地域の食文化が次世代にしっかりと継承されています。
「モロの煮付け」は、栃木県民にとっての懐かしい味であり、地域に根差した郷土料理としてこれからも多くの人々に愛され続けることでしょう。
まとめ
栃木県の「モロの煮付け」は、貴重な海の幸であるネズミザメ（モウカザメ）を使った、歴史ある郷土料理です。新鮮な海産物が手に入りにくい内陸地方で、貴重なタンパク源として食べられてきたサメの肉は、栄養価が高くヘルシーな料理として今も多くの家庭に親しまれています。これからも、栃木の味として地元の人々に大切に受け継がれていくことでしょう。