『新ジャポニズム』第1集:MANGA – わたしを解き放つ物語 – 世界を魅了する日本のマンガ
2025年1月5日、NHK総合で放送されたNHKスペシャル『新ジャポニズム』第1集「MANGA わたしを解き放つ物語」では、日本のマンガがどのように世界を魅了し、異なる文化に影響を与えているのかを深掘りしました。日本で生まれたマンガがどれほど多様な社会背景と共鳴し、グローバルな影響力を持っているのかを探る内容は、マンガが単なるエンターテインメントを超えた文化的な現象となっていることを明らかにしました。
世界を魅了する「ダンダダン」
2019年に連載が始まった「ダンダダン」は、オカルト、SF、バトル、青春といったジャンルが融合し、予想外のストーリーテリングで注目を集めました。アニメ化され、190の国・地域に配信されるやいなや、世界第2位を記録。特に、妖怪や地縛霊の都市伝説的な要素が描かれたこの作品は、国境を超えた反響を呼びました。作家の龍幸伸さんは「海外を意識したわけではない」と語り、作品自体が自発的に広がりを見せたことを示しました。
ウクライナで響いた「進撃の巨人」
戦火の中でも日本のアニメやマンガは生き続けています。ウクライナの首都キーウでは、日本のアニメソングのコンサートが開催され、その中で「進撃の巨人」のテーマが流れると、現実とシンクロする感覚を覚えたという観客がいました。主人公エレンが抱える葛藤と戦う姿に、自らの立場を重ねた彼女は、マンガが人々に希望と共感を与える力を再認識しました。マンガが戦争の中でも心の支えとなっている様子は、非常に感動的でした。
ジンバブエの若者たちと「ONE PIECE」
ジンバブエでは、経済破綻と社会的困難の中で若者たちが日本のマンガに触れ、その影響を受けています。特に「ONE PIECE」のような冒険心と仲間との絆を描く作品が、困難を乗り越える力となっています。ジンバブエのビルさんは、「ONE PIECE」の登場人物が自分を救ってくれたと語り、その強いメッセージがいかに彼らを励ましたかを物語ります。このように、日本のマンガが異国の人々に希望を与え、共感を生んでいるのは驚くべきことです。
浮世絵と手塚治虫 – 日本の創作文化の起源
番組では、江戸時代の浮世絵や狂歌のような日本独特の創作文化がマンガにどのように影響を与えたかも紹介されました。浮世絵を取り入れた創作の先駆者として、手塚治虫の「新宝島」が紹介され、戦後の日本マンガのルーツに迫りました。手塚は「アイデンティティを確かめるためにマンガを描く」と語り、彼の作品が日本社会や世界に与えた影響の大きさを感じさせます。
新しい時代のマンガ – 未来を創るクリエーターたち
番組は、今後のマンガがどのように進化していくのかにも焦点を当てました。デジタル化が進む中、マンガの未来は大きく変わりつつあります。漫画編集者の林士平さんは、デジタルプラットフォームを活用し、多くの作家が新たな表現の場を得られるようになったと話しました。また、韓国で人気の縦読みマンガ(Webtoon)など、マンガの形態や発表の方法も変わり、ますます多様化していることが伺えます。
さらに、マンガが未来のクリエイターたちに与える影響についても紹介されました。特に、学生に向けて描きたいものを湧き上がらせる大切さを伝え、独自の作品が生まれる土壌を作ることが重要だと語った林さんの言葉は、多くの若手マンガ家に勇気を与えるものでした。
マンガは自己表現の場
インドネシアでは、厳しい戒律がある中でコスプレやマンガが若者たちに解放感を与えており、特にBL(ボーイズラブ)マンガが一部で人気を集めています。カイさんというBLマンガ家は、宗教的な制約の中で自己表現の手段としてマンガを描き始めた経験を語り、世代が変われば世界も変わるという希望を見出しています。このように、マンガは単なる物語を超えて、個々の生き方や社会における自己表現の手段としても広がりを見せています。
まとめ
『新ジャポニズム 第1集 MANGA』では、マンガが世界中で受け入れられ、影響を与えている理由が深く掘り下げられました。マンガが持つ普遍的なメッセージや多様な表現力は、国境を越え、文化や社会に触発されながら進化し続けています。そして、マンガはこれからも世界中の人々にとって、自己表現の場として、また希望を与える力を持ち続けることでしょう。