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桂木ゆず 埼玉県毛呂山町 “日本最古”のゆず産地

埼玉県毛呂山町の「桂木ゆず」—香りと郷土の味を守る戦略

埼玉県毛呂山町で収穫される「桂木ゆず」は、その強い香りと風味が特徴の特産品で、地元の歴史とともに進化を遂げています。このゆずは、地元の「桂木山」から名付けられ、香りの強さでは他の産地に比べて約4倍もの差があると言われています。さらに、毛呂山町では「日本最古のゆずの産地」の一つとして、独自のブランド化が進められ、全国的にも注目されています。今回は、そんな「桂木ゆず」の魅力や、地域の取り組み、そしてそれを活かした郷土料理をご紹介します。

「桂木ゆず」の魅力とは?

毛呂山町の「桂木ゆず」は、11月から収穫が始まり、冬至の日に合わせてピークを迎えます。寒冷地で育つため、皮が厚く、香りが強いことが特徴です。実際、地元の大学の研究によると、一般的なゆずの香りが約4倍強いという結果が出ています。その香りを嗅ぐと、手に持っただけで広がる芳香が印象的です。

ゆず農家の大野謙一さんによると、2023年は猛暑の影響で不作となったものの、山あいにある畑のおかげで台風の影響を避け、高品質のゆずが収穫できたとのことです。

「日本最古のゆずの産地」のブランド化戦略

毛呂山町が誇る「桂木ゆず」のブランド化には、地域の歴史や風土を活かした戦略が重要な役割を果たしました。毛呂山町は江戸時代後期からゆずの生産が行われていたとされ、ゆずの歴史は長いものです。この「日本最古のゆずの産地」という背景をPRの強みとして活用し、観光協会の中里公哉さんはさまざまな取り組みを実施しました。

特に注目されたのが、東武東上線の電車内に「桂木ゆず」の広告を掲出したことです。1編成の車両全体を「桂木ゆず」の広告で包み込み、通勤客や観光客に強く印象づけました。また、冬至の日には、板橋区の銭湯24か所で「桂木ゆず」を使用したゆず湯を提供し、地域外の人々にも「桂木ゆず」の香りと効能を体験してもらいました。

さらに、ゆずの里ツアーを観光バスで実施することで、実際に現地を訪れてゆずの生産現場を見学できる機会を提供しました。これらの取り組みを通じて、毛呂山町は「桂木ゆず」を全国的に知られる存在に育て上げました。

地元の味「ゆず料理」の魅力

毛呂山町では、桂木ゆずを使った郷土料理も多く存在します。大野謙一さんの妻である明代さんが作ったとっておきの「ゆず料理」をご紹介します。

  • ゆず巻き
    大根の漬物でゆずを巻いた「ゆず巻き」は、さっぱりとした味わいが特徴。地元の家庭料理として親しまれています。

  • ゆずみそおでん
    ゆずみそおでんは、甘めの味噌だれにゆずを加えた料理で、上にゆずの皮をのせることで、さらに香りが引き立ちます。甘さとさっぱりとした香りのバランスが絶妙で、食べる手が止まらなくなります。

これらの料理は、「桂木ゆず」の独特の香りと風味を最大限に活かしており、地元の人々に愛されています。

2025年も期待される「桂木ゆず」

毛呂山町の「桂木ゆず」は、直売所での販売が1月中旬まで行われるほか、加工品としてお菓子やジャムなども販売されており、年間を通して楽しむことができます。また、町全体で良質な苗木を育て、関東有数のゆずの産地として発展し続けることを目指しています。

香りが強く、味わい深い「桂木ゆず」は、ただの観光地や特産品にとどまらず、地域の歴史や文化を色濃く反映した貴重な存在です。このゆずを通じて、毛呂山町の魅力を感じ、地域の人々と共に育てた価値を今後も楽しんでいきたいですね。