カテゴリー
まとめ

兵庫・神戸市の駅弁工場 探検ファクトリー 阪神淡路大震災からの復旧

駅弁工場探検!100種類以上の駅弁に込められた工夫とは?

2025年1月11日に放送されたNHK総合の「探検ファクトリー」では、兵庫・神戸市の駅弁工場を舞台に、鉄道旅行を彩る駅弁の製造過程が紹介されました。出演者は漫才コンビ・中川家の礼二さん、剛さん、そしてすっちーさん(吉本新喜劇)が登場。今回は、駅弁工場の裏側に迫り、知られざる工夫や製造のこだわりを探る内容でした。特に、毎日100種類以上の駅弁が製造されているその現場では、どんな工夫が施されているのでしょうか?

ひもを引いて温まる駅弁の仕組み

番組の冒頭では、鉄道の旅をより一層楽しくするための工夫が紹介されました。その一つが「ひもを引いて温まる駅弁」。これは日本初の技術を使った加熱式駅弁で、ひもを引くことで水と酸化マグネシウムが反応し、熱を発生させて中身を温める仕組みです。この技術により、移動中でも温かい食事を楽しむことができるのです。寒い時期の旅行では、このような駅弁が大変重宝されますね。

たこ飯弁当の製造工程に迫る

次に、番組では人気の「たこ飯弁当」の製造工程が紹介されました。たこ飯弁当は、夜に調理してから朝や昼に詰められるという流れで作られます。駅弁の最大の敵は「菌の繁殖」。そのため、調理後すぐに急速冷蔵し、菌が繁殖しにくい温度に冷ますことが非常に重要です。

特にタコを煮込む際の工夫が面白いです。繁忙期には1日300kgものタコを使い、そのタコは足先からゆっくり鍋に入れることで絡みを防ぎ、冷めた後により美味しく仕上がるようにしています。また、煮込み終わったタコを切る作業では、大きさや数を考慮し、手作業で丁寧にカットされます。

ご飯のこだわりと炊飯方法

駅弁に使われるご飯にも細かいこだわりがありました。特に水分量が多いコシヒカリは駅弁に不向きであるため、駅弁用のブレンド米を使用しています。ご飯はガス火で炊き上げ、蒸らし作業も全自動化されています。その後、急速冷蔵されることで、冷めても美味しさが保たれるのです。このような技術的な工夫が、駅弁を長時間美味しく保つ秘訣となっています。

具材の配置と手作業

たこ飯弁当の盛り付けは、具材一つ一つを担当する人が手作業で行います。工場では、毎日100種類以上の駅弁を製造しており、弁当ごとに具材の配置や数が異なるため、全てを機械ではなく、人の手で行っています。この細やかな手作業によって、どの駅弁も完成度の高い仕上がりとなっているのです。

また、駅弁に使う食材には、匂いが強いもの(例えばニンニクなど)は使用しないという決まりがあります。匂いが他の食材に移るのを防ぐため、このような工夫がされているのです。

抗菌シートや特注箸の工夫

番組では、駅弁の容器や箸にも様々な工夫が施されていることが紹介されました。例えば、弁当のフタに使われるシートは、具材がくっつかないようにするだけでなく、抗菌効果もあることが分かりました。さらに、駅弁に使われる箸は、角があることで使いやすさが向上しており、細かいところにもこだわりが見られます。

阪神淡路大震災からの復旧と明石海峡大橋開通記念弁当

この駅弁工場は、明治36年に創業し、1992年に新しい工場が完成しました。しかし、3年後に発生した阪神・淡路大震災では、工場が被災するも、主要な設備への被害は少なく、周囲のビール会社から水を提供してもらうなどして、復旧を果たしました。震災から復興を遂げた後、1998年には明石海峡大橋が開通し、その記念として「たこ飯弁当」が販売され、話題となりました。

しかし、コロナ禍によって鉄道の利用者が激減した影響で、駅弁の需要は大きく減少しました。それでも、工場では引き続き品質の高い駅弁を製造し、次の需要回復に向けた準備を進めています。

まとめ

駅弁工場の裏側を知ることができた今回の放送では、単なる食事としての駅弁以上に、多くの工夫や技術が詰まっていることがわかりました。食材の選定、調理方法、衛生管理、そして手作業による盛り付けまで、すべてが精密に計算されて作られています。鉄道の旅がもっと楽しくなるような工夫が、駅弁一つ一つに込められていることを改めて実感しました。次回、駅弁を食べる時は、その背後にある技術や努力を思い浮かべながら、より一層美味しく感じることでしょう。