12月18日、NHKのドキュメンタリー番組『あの日 偶然そこにいて』で、伝説の競走馬オグリキャップの引退レース「有馬記念」に焦点を当てた特集が放送されます。番組タイトルは「~怪物オグリキャップ 伝説のラストラン~」。1990年12月23日に行われたこのレースは、オグリキャップが「燃え尽きた怪物」として言われながらも、見事に復活を果たす瞬間として今も語り継がれています。
オグリキャップの引退レースは、競馬史に残る名勝負として知られています。当日は中山競馬場に18万人もの観客が集まり、その熱狂的な声援とともにオグリキャップはラストランを迎えました。前評判では「オグリは終わった」とささやかれていたものの、彼はその期待を裏切り、劇的な勝利を収めました。この伝説的な瞬間に立ち会った人々のその後を追うこのドキュメンタリーでは、オグリキャップに心を打たれた女性や、彼の存在に支えられた人々の証言が紹介されます。
さらに、あの日のレースに騎乗していた武豊騎手も登場。彼がどのようにオグリキャップを導き、復活を果たすためにどんな心の準備をしていたのかを振り返ります。武騎手はオグリキャップとのコンビを組んだ1990年の有馬記念を「奇跡のラストラン」と語り、レース後には「強い馬は強いんです」と力強くコメント。オグリキャップの引退レースでの勝利は、競馬ファンだけでなく多くの人々に感動を与えました。
オグリキャップの魅力はその強さだけでなく、彼の成長物語や苦境を乗り越える姿勢にもありました。父ダンシングキャップ、母の父シルバーシャークという血統から、地方競馬の笠松からスタートし、中央競馬に移籍後は一躍トップ競走馬となり、日本中のファンを魅了しました。その走りはただ速いだけでなく、努力とひたむきな姿勢が強く印象に残り、多くの人々に希望を与えました。
また、オグリキャップと並び、競馬界のアイドルとなった存在としては「ハイセイコー」が挙げられます。ハイセイコーは無敗で1973年の皐月賞を制した名馬で、オグリキャップと同様に国民的人気を誇りました。オグリキャップもまた、その草野球的な背景を持つことから、ファンの心をつかみました。彼の物語は「日本人の判官贔屓」に触れる部分があり、良家やエリートが続々と打ち負かされていく姿に痛快さを感じる人々も多かったことでしょう。
オグリキャップが引退してからも、その伝説は続き、後に登場したディープインパクトのような異次元の強さを持つ馬が登場する中でも、オグリキャップの存在は色褪せることなく競馬史に刻まれています。ディープインパクトの強さに魅了されつつも、オグリキャップのように苦しみながらも懸命に走り抜く姿にこそ、競馬の魅力が詰まっていることを再認識させてくれるのです。
今回の放送を通じて、オグリキャップのラストランに立ち会った人々や、その後の心の変化を知ることができる貴重な機会となります。また、武豊騎手の回顧も非常に興味深く、あの日の「奇跡のラストラン」の裏にあった思いが明かされることでしょう。競馬ファンにとっても、オグリキャップの伝説は今なお色褪せることなく、心に深く刻まれた名馬の一つです。