成田空港で初の“抜き打ち”地震訓練!課題と対応の重要性
2024年12月、成田空港で初の“抜き打ち”地震訓練が実施されました。この訓練は、普段とは異なり、事前に詳しいシナリオが伝えられない形で行われ、スタッフや利用者の対応能力が試されました。大地震が発生した際に空港内でどのように行動すべきかを確認するため、地震発生時のシミュレーションが行われました。
訓練の概要とシナリオ
12月6日、成田空港では震度6強を観測する大地震が発生したとの想定で訓練が行われました。訓練参加者には、地震発生の事前情報がほとんど伝えられず、「抜き打ち」の形で実施。ターミナル内ではエスカレーターで転落するけが人が発生したり、担架で運ばれる人が出るなど、空港スタッフと航空会社スタッフ約120人が臨機応変に対応する様子が見られました。
外国人対応の課題
訓練の重要なポイントの1つは「外国人旅行者への対応」です。成田空港を利用する外国人の数は増加傾向にあり、今年度上半期には、空港を利用した外国人が初めて1000万人を超えました。しかし、地震を経験したことのない外国人も多く、緊急時の対応が課題となっています。
例えば、訓練中に中国から訪れた観光客がパニックになり、カウンターで興奮している場面がありました。日本航空のスタッフである玉置晴香さんは、中国語で簡単なやり取りを行い、まずは落ち着いて安全な場所へと誘導。外国語に対応できるスタッフがいることが、外国人旅行者の不安を軽減する重要な要素であることが改めて確認されました。
さらに、津波が来ると思い込んでいるタイ語話者や、テロだと思い込んでいる英語話者など、異なる言語で混乱が発生し、それぞれの言語で対応できるスタッフが求められました。このような多言語対応の重要性も浮き彫りになった訓練でした。
情報共有の重要性と課題
訓練終了後、参加者からは情報共有の難しさが指摘されました。広大なターミナル内で、どこで何が起きているのかを迅速に把握することが難しく、効率的な情報伝達が重要であることが改めて認識されました。スタッフ同士で連携を取ることが求められる場面が多く、訓練後には改善策を話し合う反省会が開かれました。
玉置さんも「スタッフ同士で情報共有することの大切さ」を実感し、今回の経験を通して「お客様に寄り添った対応」を心がけることの重要性を学んだと述べています。非常時においては、スタッフ一人一人が冷静に行動し、周囲の状況を把握しながら対応することが求められます。
東日本大震災の教訓
成田空港では、2011年の東日本大震災の際にも大きな混乱がありました。震災時、空港は約4時間にわたって閉鎖され、1万人以上の利用者が一時避難を強いられました。空港内で一夜を明かした人々もおり、この経験が今回の訓練に活かされています。特に外国人旅行者への対応が重要であることは、過去の教訓からも痛感されています。
まとめ:私たちも準備を
今回の訓練は、成田空港スタッフや関係者が緊急時にどのように連携し、迅速に対応するかを確認する貴重な機会となりました。しかし、課題も多く残り、今後さらなる改善が求められます。空港利用者としても、大地震が発生した際に自分自身がどのように行動すべきかを確認しておくことが大切です。事前に情報を得て、避難場所や身の守り方について理解しておくことで、万が一の際に冷静に対応できるよう備えておきましょう。
成田空港を利用する際は、ぜひ「成田空港 大地震これだけは」というNHKの解説を参考にし、地震への備えを再確認してください。