「グレーテルのかまど」でよみがえった奈良・長谷寺の門前菓子—女夫まんじゅうの魅力
2025年1月20日(月)に放送されたNHK「グレーテルのかまど」では、奈良県桜井市の長谷寺の門前菓子である「女夫まんじゅう」が紹介され、その魅力が再発見されました。この放送では、古い文献や土地の人々を訪ね、失われた菓子を復元させた人々の物語が描かれています。そして、番組のホストであるヘンゼルも、その愛らしいまんじゅう作りに挑戦しました。
失われた門前菓子の歴史
長谷寺の門前菓子、「女夫まんじゅう」は、明治時代の神仏分離令によって姿を消してしまいました。神仏分離令は、神社と仏教寺院の分離を強制し、その影響で多くの伝統的な風習や文化が失われてしまったのです。しかし、長谷寺の門前菓子もその一つで、長い間人々の記憶から消えかけていました。
そんな中、春日大社の権宮司さんが、古い文献を丹念に読み解き、失われた門前菓子を復元するために動き出します。そして、見事に「女夫まんじゅう」を再現し、長谷寺の新たな伝統としてよみがえらせたのです。このおまんじゅうには、夫婦の絆を強くするという言い伝えも込められており、結婚祝いや無事を祈願して贈られることが多かったといいます。
女夫まんじゅうの魅力
「女夫まんじゅう」の特徴は、何と言ってもその可愛らしさと、赤と白のまんじゅうが重なり合う形です。赤はお酒の風味を感じさせる酒まんじゅうで、白は山芋が効いた薯蕷まんじゅうとなっています。この二つのまんじゅうは、まさに「女夫(めおと)」のようにぴったりと重なり合い、見た目にも愛らしく、食べる人々に幸せな気持ちをもたらします。
かまどオリジナルの女夫まんじゅう作り
番組では、かまどがオリジナルの「女夫まんじゅう」を作る過程が紹介されました。まず、赤いまんじゅうを作るために、酒粕とすりおろした山の芋を混ぜ合わせ、砂糖と色粉を加え、薄力粉とベーキングパウダーを加えて生地を整えます。この生地にあんを包み、次に白いまんじゅうを作ります。白いまんじゅうは、赤の4倍の量の山芋を使用し、ゆずの皮と果汁で風味を加え、上用粉を使って生地を練り込みます。
完成したまんじゅうは、蒸し器で蒸し上げ、最後に白みそあんで赤と白のまんじゅうをつなぎ合わせます。出来上がった「女夫まんじゅう」は、酒粕の風味が豊かな赤まんじゅうと、ほのかなゆずの香りが漂う白まんじゅうが一体となり、そのハーモニーが楽しめる贅沢な味わいです。
結び
「女夫まんじゅう」の復元は、単なる伝統菓子の再現にとどまらず、失われた文化や歴史を現代に引き継ぐ大切な試みでもあります。長谷寺の門前で参詣者たちに親しまれてきたこのお菓子が、今再び人々に愛され続けることを願ってやみません。番組を通して、視聴者の皆さんもその歴史や魅力に触れ、心温まるひとときを過ごしたことでしょう。
もし、皆さんもこの「女夫まんじゅう」を味わう機会があれば、赤と白のまんじゅうを一口食べるごとに、夫婦の絆や、祈りの気持ちが込められた味わいを感じてみてください。