「自分が仕事になりたい」― こっちのけんとが語る仕事との向き合い方
2024年12月11日に公開されたNHKのインタビューでは、アーティスト・こっちのけんとさんが自らの人生や仕事観について語りました。大学時代の経験から、就職活動の失敗、そして音楽の世界での成功まで、彼がどのように自分と向き合いながら「仕事」を見つけてきたのかを振り返ります。
大学時代の貴重な経験
こっちのけんとさんが大学に入ったのは、父親からの助言がきっかけでした。大阪から東京の大学へ進学し、アカペラサークルに所属。その後、なんと大学1年生の段階で衆議院議員の秘書を務めることに!当時の東京での経験について、「初めて乗った田園都市線での混雑に驚いた」と言う一幕を、面白おかしく語っています。秘書の仕事を通じて得た知識や経験は、今振り返ると面白い話のネタになったが、実際にはそれが今の仕事に直結しているわけではないと、謙遜しながら話しています。
就職活動の苦悩と気づき
けんとさんが就職活動をしていた頃、その真面目すぎるアプローチがうまくいかなかったことを告白します。最初は「就活生」という枠に自分を無理に合わせようとして、個性が消えてしまい、面接でも相手に自分の本当の姿を伝えられなかったそうです。しかし、思い切って本音を語った面接で、ようやく本当の自分を評価してもらい、希望の会社に入社することができました。このエピソードは、就活において「素直でいること」の大切さを教えてくれます。
サラリーマン時代の経験と辞職
けんとさんは、入社後に「やりたかったこと」を仕事にしてみたものの、1年で退職することになりました。多忙を極め、心身の疲れがピークに達し、ついには倒れてしまいます。抑うつ状態と診断され、休職することに。この体験から学んだのは、「自分に合わない働き方をしていると、心身に無理が生じる」ということ。無理に働き続けるのではなく、もし体調に異変を感じたら、早めに専門家に相談することの重要性を強調しています。
音楽と「仕事」の境界線
音楽に転職した後、最初は曲作りが「仕事」だとは感じていなかったというけんとさん。しかし、ヒット曲『はいよろこんで』の制作過程で、その意識が変わったと言います。「この曲を多くの人に届けたい」と考えるようになったとき、音楽活動が自分の「仕事」になったことを実感したそうです。彼にとって、仕事は「好きなことをしてお金を得ること」ではなく、「自分の表現を深め、人々に届けること」だといいます。
好きなことを仕事にする難しさ
「好きなことを仕事にすると、逆にそれが辛くなるのでは?」という質問に対し、けんとさんは率直に「わかる!」と答えました。趣味が仕事になると、時には嫌な時期が来ることもあります。しかし、嫌いなことを仕事にしている場合、その不満がずっと続く可能性が高いという点で、やはり好きなことを仕事にする方が良いと感じているそうです。
仕事とは?―「自分が仕事」
インタビューの最後にけんとさんが語った言葉が印象的です。「僕は、将来『この職業になりたい』というよりは、『自分自身が仕事になりたい』と思っていた」と。つまり、職業として定義されるものではなく、自分のやりたいことを実現する過程そのものが仕事だという考え方です。自分の個性や得意なことを活かし、それが仕事として形になる—それこそが、けんとさんにとっての「仕事」とはどういうものかを示しています。
自分の「やりたいこと」を信じる
最後に、けんとさんは「やりたいこと」について悩んでいる人に向けて、「うまくいかないことがあっても、そこから学べることはたくさんある。悩んだ時は、自分が何をしたいのかを信じて進んでみることが大切だ」とアドバイスを送っています。仕事に対する考え方は人それぞれですが、彼のように自分自身を大切にし、信じた道を突き進む姿勢には多くの人が共感できるのではないでしょうか。
けんとさんの言葉は、仕事に対する固定観念を打破し、「自分が何をしたいのか」を見つける重要性を改めて教えてくれます。自分を知り、無理をせず、時には自分を甘やかすことも大切だというメッセージが響きます。