絶滅危惧店「バーガーシティ」の今:SNSで逆転劇を果たしたファストフードの生き残り戦略
近年、SNSを駆使した企業戦略が注目されていますが、まさにその代表例と言えるのが「バーガーシティ」の話です。11月13日に放送されたテレビ東京の番組「何を隠そう…ソレが!」では、兵庫県豊岡市にあるこのファストフード店の驚きの経緯と、現在の状況が紹介されました。かつて関西圏を中心に「100円バーガー」で一世を風靡した「バーガーシティ」は、全盛期には約400店舗を展開していましたが、今では唯一、豊岡市の「バーガーシティ サンロード店」だけが残る絶滅危惧店となっています。
本部の倒産と店舗オーナーの逆転劇
1998年、本部の突然の倒産によって、チェーン店のオーナーたちは保証金の返金もないまま、いわゆる「夜逃げ」状態に。ほとんどの店舗は閉店を余儀なくされ、存続した店舗は皆無に近くなりました。しかし、最後の1店舗となった「バーガーシティ サンロード店」の店主、上坂さんはその状況を逆転のチャンスとして捉えました。
上坂さんは、SNSで「絶滅危惧店」としてその状況を発信。これが予想以上の反響を呼び、メディアにも取り上げられることとなり、話題となりました。消費者の注目を集め、店に訪れる人々が増えるきっかけとなったのです。この戦略は「逆転劇」の象徴とも言える成功を収めました。
安さと品質を兼ね備えた「バーガーシティ」の魅力
現在、最安値のハンバーガーは190円となり、以前の100円バーガーからは値上がりしていますが、それでも「激安」と言える価格を維持しています。特に、原材料費の高騰に見舞われた中でも、この価格を維持するための努力が感じられます。市場競争が激しい中、どのハンバーガーチェーンにもない「地元密着型」の強みを生かして、他の大手ハンバーガーチェーンを駆逐したという評価もあります。
経済用語で「残存者利益」とは、競争の中で生き残った企業が市場を独占することで得られる利益を指しますが、まさに「バーガーシティ」はその例にぴったりです。地域市場を独占している今、上坂さんは逆転のチャンスをものにし、長年の努力と粘り強さで生き残っています。
絶滅危惧店からの脱却
「絶滅危惧店」としての逆境を乗り越えた「バーガーシティ」。その成功の鍵は、単なる「安さ」だけではなく、SNSを利用した巧みな情報発信と、地域社会との強い結びつきにあると言えるでしょう。かつての栄光を取り戻すべく、今後も地元に愛される店として、さらなる成長を見せてくれることを期待せずにはいられません。
これからも、「バーガーシティ」の挑戦を応援し、そしてその“逆転劇”に目を離さずに見守りたいですね。