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柳沢正史教授 オレキシンと睡眠、食物繊維の大切さ 林修の今知りたいでしょ

冬の睡眠を深く理解!「オレキシン」の発見と覚醒のメカニズム

2024年12月5日放送のテレビ番組「林修の今知りたいでしょ」では、冬の睡眠についての特集が組まれ、睡眠研究の第一人者である柳沢正史教授が出演しました。柳沢教授は、世界的に注目される睡眠研究の権威であり、その業績はノーベル賞に匹敵する賞を複数受賞しています。その中でも特に重要なのが、「オレキシン」と呼ばれる覚醒物質の発見です。この物質が、私たちの眠りと覚醒のメカニズムにどのように関わっているのかを解説します。

オレキシンの発見とその重要性

柳沢教授が率いた研究チームは、1998年にアメリカのテキサス大学で「オレキシン」という脳内物質を発見しました。当初、この物質は食欲に関連していると考えられていましたが、後にその重要な役割が明らかになります。オレキシンは、眠ってはいけないタイミングで体を覚醒させるための重要な役割を持つ物質でした。実際、オレキシンを生成できないマウスは、突然眠りに落ちてしまうことが分かり、この現象が人間における「ナルコレプシー」と呼ばれる睡眠障害と非常に似ていることが判明しました。

オレキシンとナルコレプシー

ナルコレプシーは、日中の過剰な眠気、突然の睡眠発作、感情が高ぶると筋肉が弛緩する情動脱力発作、金縛りや幻覚、夜間の頻繁な覚醒などの症状を特徴とする睡眠障害です。日本では、ナルコレプシーの患者は600~2000人に1人とされ、特に10代から30代に発症しやすいと言われています。この研究により、オレキシンがナルコレプシーの原因となる物質であることが示され、治療法の開発にもつながる重要な発見となりました。

食事と睡眠の関係:オレキシンの影響

番組では、オレキシンが私たちの眠りにどのように影響を与えるかについても詳しく説明されました。特に、「お腹が空くと眠れない」という経験がある方も多いのではないでしょうか。これは、空腹によって血糖値が低下し、神経細胞が刺激され、オレキシンが分泌されるためです。この覚醒物質は、私たちが食物を探しに行くために体を覚醒させる働きをしており、食事が不足すると、体が覚醒状態に向かってしまうのです。

良い睡眠のための食習慣

柳沢教授によると、良い睡眠を得るためには食事にも工夫が必要です。例えば、就寝の4時間前には適切な量の食事を摂ることが推奨されています。糖質や脂質が多い食事は、寝つきを遅くする原因となるため、なるべく避けることが望ましいです。一方で、食物繊維が豊富な食事を摂ると、寝つきが良くなることが報告されています。また、食事中によく噛むことも重要で、特に野菜を多く摂ることで健康的な眠りに近づけると言われています。

まとめ

睡眠と覚醒のメカニズムを解明する上で、オレキシンは非常に重要な役割を果たしています。食事や生活習慣が私たちの眠りにどれほど影響を与えるか、改めて考えるきっかけとなった今回の放送。特に冬は寒さや乾燥が影響して、眠りが浅くなることもありますが、オレキシンの働きと食事の関係を理解することで、より良い睡眠を確保するための方法が見えてきます。柳沢教授の研究成果は、今後の睡眠医学や治療法の発展に大いに貢献することでしょう。