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小さな旅 ふるさとつなぐ雪日和 ~徳島県 三好市祖谷(いや)

ふるさとをつなぐ「雪日和」—徳島県三好市祖谷の温かな冬景色

2024年1月21日放送のNHK『小さな旅』では、徳島県三好市の祖谷地域の冬の暮らしが描かれました。祖谷地域は、数十人程度の小さな集落が80ほど点在する、自然豊かな場所です。この地域で生まれ育った岡本文博さん・レイ子さん夫妻は、冬支度に忙しい日々を送っていました。彼らの生活の中で、自然と共に生きる知恵や、地域のつながりがどのように息づいているのかを見ていきましょう。

冬支度と自然の知恵

岡本さん夫妻は、冬の訪れに備えて準備を進めていました。収穫した野菜を春まで美味しく食べるため、土の中に埋めて凍らないように保存したり、ビニールハウス内で干し芋を作ったりします。このように、祖谷の人々は昔から自然の厳しさを乗り越えるために、工夫を凝らした知恵を受け継いできました。岡本さんの祖先が祖谷に住み始めたのは明治時代で、山から水を引いて生活を支えてきたそうです。特にこの地域は厳しい冬が訪れるため、冬の支えとなる「そば米雑炊」が昔から親しまれてきました。この料理は、そばの実を米に見立てて作られるもので、冬の寒さを乗り越えるための温かな一品です。

祖谷の象徴「かずら橋」の架け替え

祖谷地域には、特に観光名所としても有名な「奥祖谷二重かずら橋」があります。この橋は、800年前に平家の落人が架けたものとされ、隣の集落に行くためには必ずこの橋を渡らなければならなかったといいます。そのため、祖谷地域にとっては欠かせない重要な存在でした。このかずら橋は、昔ながらの技術を使って補修されることになり、井下公一さんがその作業を行っています。井下さんは、シラクチカズラという固い植物を火で熱して加工し、ワイヤーを入れて補修を進めています。この技術を受け継いでいることに、井下さんは「誇り」を感じています。

地元の人々とのつながり

祖谷の地域では、互いに助け合いながら暮らしています。ある集落では、神社の大掃除が行われていました。この掃除に参加していたのは、19年前に祖谷地域に移住してきた近藤奈緒さんです。近藤さんは、田舎暮らしに憧れてこの地に引っ越してきたものの、ここで出会った夫の進治さんと結婚し、地元で介護職をしています。近藤さんは、祖谷の人々の温かさと、地域の雰囲気がとても好きだと語ります。彼女の娘である紬さんは、祖谷地域で唯一の高校に通うために街へ通っており、少し離れた場所で生活しています。しかし、祖谷の人々はそのような若者たちを温かく見守り、支えているのです。

変わりゆく風景と未来への希望

祖谷地域では、少子化や高齢化が進んでいるため、子どもたちは少数派です。しかし、祖谷を愛する人々は、この地での生活を大切にしており、次世代にもその良さを伝えようとしています。近藤さんは、紬さんと仁技さんの2人の子どもが、地域の皆に支えられながら成長していく姿を見守りつつ、祖谷の未来にも希望を抱いています。特に仁技さんは、祖谷を誇りに思い、将来進学のために地域を離れることに少し寂しさを感じつつも、この地に戻りたいという気持ちを抱いていると言います。

祖谷地域の温かな暮らしと人々のつながりが描かれたこの『小さな旅』では、地域の誇りや未来を支える力が感じられました。春になると、新しく架け替えられたかずら橋には観光客が集まり、祖谷の魅力がより一層輝きを増すことでしょう。地域の人々の努力と情熱が詰まった祖谷で、これからも温かい物語が紡がれていくことでしょう。